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趣味垢のススメ

「病んでます?大丈夫ですか?」
仲の良い後輩から、ある日LINEが来た。
「え、超元気だよ!なんで!」
聞くと、すぐに返信が来た。
「最近Twitter呟いてないんで、気になって……(>_<)」

 

私はTwitterのアカウントを3つ持っている。
大学や会社のリアルな知り合いと繋がっているアカウント(本垢)、今後仕事用として使う予定のアカウント(仕事垢)、そして、趣味用のアカウント(趣味垢)。

後輩は本垢で繋がっている。
確かにここ最近、本垢で呟いていない。
数ヶ月稼働していない私のアカウントに気づき、後輩が心配してくれたというわけだ。
わざわざ連絡してくれた彼女には申し訳ないが、私は今かなり安定した精神で毎日を過ごしている。

本垢を使わなくなったのには理由がある。
見ている人を気遣って呟くということに疲れたからだ。
以前本垢では、特に意味の無い言葉を呟いていた。
「映画観てきた~」
「めっちゃ美味しいごはん食べた~」

その流れで「仕事きつい」という趣旨のことを呟いたら、翌日上司に指摘された。
「ああいうこと、人が見ている場所で呟かない方が良いよ」と。

こうなると本垢で発言したいことなんて皆無だ。
呟かないのなら、もはや本垢ではない。
もうすぐ消えるアカウント、略して「消え垢」とでも呼ぼうか。

 

2017年、5月。
私は「お笑い」にハマった。
たまたま観に行ったライブで、芸人・Sのファンになったのがきっかけだ。
自分でもびっくりするくらいの速度で沼に落ちた。
彼らが出るライブの情報が知りたい。
テレビの情報も知りたい。
余すことなく全てを知りたい!
とはいえ、お笑いはこれまで全く接してこなかった分野。
情報収集の仕方すら分からない。
そこで作ったのが、趣味垢だった。

まず、同じ芸人のファンを片っ端からフォローした。
新参者として、きちんと一人一人にご挨拶もした。
「いきなりフォローすみません! 私もSさんのファンなんです☆ 是非仲良くしてください(^^)!」

お笑いファンはみんな優しかった。
Twitter上でやりとりをするだけでなく、一緒にライブに行くような"リアルな"友だちもすぐに数人できた。
SNSで知り合った人と会うなんで、本来であれば物凄く怖いことだ。
しかし「同じ人たちが好き」というだけで、ハードルはぐんと下がった。

テレビを観て感想を共有し、ライブのチケット争いは共に戦う。
勝ち取ったチケットでライブに行き、その後食事をしながら語らう。
きっとこの付き合いは、誰かが彼らのファンではなくなった時に自然と消えるのだと思う。
しかしいつか切れてしまうかもしれないのは、どんな人間関係だって一緒だ。
そこに濃いも薄いも関係ない。

繋がっている人すべてが同じ趣味なのだ。
そこにアンチはいないし、ケンカも無い。
サブ的に作ったはずだったアカウントが、いつしか一番居心地の良い場所になった。
好きだ、とか楽しい、ということばかり言っていたら、毎日が明るくなった。
プラシーボ効果に似ている。

 

複数アカウント持つことを不健全だと言う人もいる。
しかしTPOに合わせて自分を変えているのだと思えば、逆に健全にも思える。
そもそも、人は誰もが多様な顔を持っている。
家族の前、仕事場、友人との飲み会、ひとりの時……。
自然とそれぞれの顔を使い分けて生活している。
Twitterはその使い分けを、見える化した感じだ。

趣味垢を眺めていたら、新しい情報が入ってきた。
「花火大会のイベントに、Sがゲスト出演してるらしい! 公式で発表無かったからシークレットかな? Twitterで検索するとたくさん写真出てくるよ!」
その情報に歓喜する、フォロワーたち。
今日も私の趣味垢は、底抜けに平和だ。

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